ユニバーサルヘルスカバレッジ国試

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第113回 C問題 1問目 - 113C01

113C 国際機関

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ<UHC>について中心的に取り組む国際機関はどれか。

a. ILO

b. WHO

c. JICA

d. OECD

e. UNAIDS

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問題解説・webプログラミング : 米澤昌紘(れく)

解答: b

113C1の解説

「すべての人が、適切な健康増進・予防・治療・機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること」をUHCと呼ぶ。持続可能な開発目標〈SDGs〉内でUHCの達成が掲げられている。
a ILOは国際労働機関。
b 正しい。UHCに中心的に取り組む国際機関はWHO〈世界保健機関〉である。
c JICAは独立行政法人国際協力機構。
d OECDは経済協力開発機構。
e UNAIDSは国連合同エイズ計画。

ユニバーサルヘルスカバレッジ国試

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.25>第106回午前問題72Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。
Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。
  1. 経口補水液の配布
  2. 乳幼児の栄養状態の把握
  3. 女性の識字率向上の支援
  4. 病院における母子看護業務の把握

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解答2 乳幼児の栄養状態の把握

1.経口補水液の配布
→× 活動にあたっては現地の関係者と協力・連携することになりますが、そのためには当然、計画を立案しなくてはなりません。「母子の健康状態が不良」な情勢のなかでできることを考えるためにはどのように健康状態が不良なのかを理解する必要があります。よって、現状を把握せずに1の「経口補水液の配布」をするのは時期尚早ですし、的外れな支援にもなりかねません。
2.乳幼児の栄養状態の把握
→◯ 上記のとおり、まずは「どのように健康状態が不良なのか」を理解する必要があることから、答えは2が最も適切です。
3.女性の識字率向上の支援
→× 保健指導や知識普及の活動をするには、3の「女性の識字率」を調べることは方法を考えるうえで必要ですが、向上支援は時間がかかるため、まずは字に頼らない活動の方法を考えます。
4.病院における母子看護業務の把握
→× 「病院における」という非常に狭い範囲の調査になってしまううえ、紛争後にどのくらいの病院が機能しているのか、病院へのアクセスの状態など住民にとって病院がどのような存在なのかを知ったあとに集める情報だと考えます。


正答につながるポイント!

保健医療分野での日本を代表する国際協力機関として、国立研究開発法人国立国際医療研究センター国際医療協力局があります。同センターでは厚生労働省や外務省、独立行政法人国際協力機構(JICA)、世界保健機関(WHO)等と連携しながら、開発途上国における技術協力プロジェクトへの専門家派遣国内外の保健医療人材の育成・国際保健医療の研究を通じて国際協力を行っており、のような重点テーマを挙げています。

国試対策のポイント!

第105回くらいから増えたタイプの問題で、何かを覚えれば解けるのではなく自分で思考して判断する問題です。過去問で慣れておいて、試験当日は根拠を「自分のなかで」あきらかにして不安をやわらげましょう。


図 日本の国際保健医療における重点テーマ

ユニバーサルヘルスカバレッジ国試

国立研究開発法人 国立医療研究センター 国際医療協力局:5つの重点テーマと3つのコアビジネス.より引用
*【UHC】universal health coverage:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ。すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを経済的な不安なく受けられること。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

ユニバーサルヘルスカバレッジ国試

ユニバーサルヘルスカバレッジ国試
国際保健

2019.09.28

第113回医師国家試験から少し分かりやすく出題してみました。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ〈UHC〉について中心的に取り組む国際機関はどれか。

  1. 国際労働機関〈ILO〉
  2. 世界保健機関〈WHO〉
  3. 国際協力機構〈JICA〉
  4. 経済協力開発機構〈OECD〉
  5. 国連合同エイズ計画〈UNAIDS〉

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味します。

UHCに中心的に取り組んでいる国際機関はWHOです。

よって答えは2になります。

世界保健デーとは・・・

世界保健デー(せかいほけんでー)とは、世界保健機関(WHO: World Health Organization)が設立された日(4月7日)にちなんで設けられた記念日である。

■WHOとは
WHOは「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的に設立された国連の専門機関である。設立以来、健康増進・公衆衛生分野で幅広い活動を行っている。2015年現在、加盟国は194か国。日本は1951年に加盟した。本部はスイスのジュネーブにおかれている。

■世界保健デーにおける最近のテーマ
世界保健デーには各国共通のテーマを毎年1つ決めて、それに向けて世界的な取り組みやイベントが行われる。ここ数年のテーマは次の通り。
〈2017年〉
テーマ:「うつ病」
スローガン:「うつ病:一緒に話そう(Depression: Let’s talk)」
〈2018年〉
テーマ:「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:誰もがどこでも保健医療を受けられる社会に」(Universal health coverage: everyone, everywhere)
スローガン:「すべての人に健康を」(Health for All)
〈2019年(2018年と同様)〉
・テーマ:「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:誰もがどこでも保健医療を受けられる社会に」(Universal Health Coverage: everyone, everywhere)
・スローガン:「すべての人に健康を」(Health for All)

UHCとは「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味し、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医療サービスを享受することを目指しています。持続可能な開発目標(SDGs)においてもゴール3(健康と福祉)の中でUHCの達成が掲げられておりますが、UHC達成のためには「保健医療サービスが身近に提供されていること」、「保健医療サービスの利用にあたって費用が障壁とならないこと」の2つが達成される必要があることから、2017年7月の国連総会では「必要不可欠の公共医療サービスの適用範囲」と「家計収支に占める健康関連支出が大きい人口の割合」をSDGsにおけるUHC指標とすることが採択されました。

UHCを達成するためには、物理的アクセス、経済的アクセス、社会慣習的アクセスの3つのアクセスの改善に加え、提供されるサービスの質が高まることが重要です。

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3つのアクセスの改善

国際社会の取組により、1990年には年間1,260万人だった5歳未満児の死亡数が2016年には560万人に半減するなど、大きな成果がありました。しかし、2017年12月に公表されたWHOと世界銀行による「2017 UHCグローバルモニタリングレポート」によると、全世界では未だ人口の半分(35億人)が健康を守るための質の高い基礎的サービスにアクセスできていないとされています。同じ国のなかでも格差があり、地方部・へき地居住者、低所得者層に加え、女性・障害者・少数民族など社会的に弱い立場にある層では、保健医療サービスから取り残される人々が多くいます。さらに、世界では8億人が世帯総支出の10パーセントを超える医療費負担を経験しており、毎年1億人近くが医療費負担を原因として貧困化しているとされています。

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こうした世界の状況を踏まえ、日本政府も2015年9月に発表した「平和と健康のための基本方針」の中でUHCの推進を政策目標や基本方針として掲げています。JICAも、他の先進国に比べ低コストで世界一の長寿を達成した保健医療の歴史とシステムを有する日本の経験を踏まえ、貧困層を含むすべての人々が基本的なサービスにアクセスできるよう、国際社会とともにUHCの推進に取り組んでいます。

JICAは国際会議等の場でも積極的な発信に努めており、2016年5月のG7伊勢志摩サミットでは、議論の過程でオールジャパンの研究班に参加、技術的な観点からの提言や国際的な発信等を通じ貢献しました。同年8月にケニアで開催された第6回アフリカ開発会議(TICADVI)では世界銀行、世界保健機関(WHO)、日本政府等と共同で「アフリカにおけるUHC実現に向けた政策枠組み」を打ち出しました。2017年12月には、世界銀行、WHO、UNICEF、日本政府等とともにUHCフォーラム2017を東京で共催し、SDGsの目標年である2030年までのUHC達成に向けた具体策を議論しました。

国際的な約束を着実に実行するべく国レベルでの協力にも力を入れています。保健医療サービスを人々に提供するための人材・施設・資機材などの基盤(保健システム)の強化、多くの途上国で未だ大きな課題となっている母子保健の向上、2014年のエボラ出血熱の流行など、感染症の流行を抑えるための対策、非感染性疾患の対策など、保健分野のすべての協力で途上国におけるUHCの達成を支援しています。更に、UHC達成のためには、健康を守る社会を作ることも重要で、栄養の改善、教育の普及、ジェンダー平等の推進、経済格差の是正など、保健分野以外の様々なセクターへの協力でもUHC達成に向けた協力をしています。

関連リンク

  • 世界が抱える課題への取組(保健医療)
  • JICA保健医療タスクニュースレター 保健だより第48号「-ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」(PDF/1.66MB)
    ユニバーサルヘルスカバレッジ国試
  • ニュースリリース「UHCフォーラム2017開催:すべての人の健康の実現に向け、「UHC東京宣言」を採択。北岡理事長が登壇し、JICAの取組の強化を表明」(2017年12月15日)