ニュージーランドドル見通し

執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次

  • ▼今週の振り返り
  • ▼注目のRBA理事会!四半期CPIの上伸を受けて利上げ幅再拡大はある?
  • ▼その他にも注目経済指標が盛りだくさん
  • ▼テクニカル的には…
  • ▼10/31 週のイベント
  • ▼一言コメント

今週の振り返り

今週は10月24日の東京時間朝方に、財務相・日銀による円買い介入と思われる動きがあり、豪ドル/円、NZドル/円は大きく下落しました。その後は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ速度が減速するとの思惑から米ドル売りが強まりました。豪ドル、NZドルは対米ドルでは買われたものの、米ドル/円が下落したため、豪ドル/円、NZドル/円が大きく上値を伸ばすには至りませんでした。豪ドル/円は94.67円前後で週初を迎え、一時92.92円前後まで急落後、95.44円付近まで買い戻されました。NZドル/円は85.60円前後で週初を迎え、一時84.12円前後まで急落後、85.58円付近まで買い戻されました。

注目のRBA理事会!四半期CPIの上伸を受けて利上げ幅再拡大はある?

26日に豪7-9月期四半期消費者物価指数(CPI)が発表されました。結果は前年比+7.3%と予想(+7.0%)を大きく上回り、1990年の4-6月期以来の高水準となりました。豪準備銀行(RBA)が10月4日の理事会の時点で予測していた2022年末のインフレ率が7.75%です。RBAの予想よりもインフレの勢いが強まっている可能性があります。

では、RBAは11月1日の理事会で利上げ幅を0.50%に再拡大するのでしょうか?
筆者は10月に続いて0.25%利上げを継続すると予想しています。

RBAが利上げ幅を縮小したのは、「短期間で急速に上昇させた金利が経済に与える影響をみたい」からです。そして、RBAが短期間で急速に金利を上げたのは6月~9月(4カ月連続で0.50%利上げ)です。元々、金融政策の変更が実体経済に影響を与えるには数カ月以上かかると言われている上に、利上げを開始したのが5月ですので、CPIに利上げの影響が完全に反映されているとは考えにくいことです。
そのため、年内(あと2回の会合)は様子を見たいのではないか?と見ています(10月のCPIが引き続き高水準だった場合は、12月から利上げ幅拡大)。

他方で、前述しましたがインフレ率がRBAの年末の予想にかなり近づいてきていることも事実です。そして、RBAがインフレ率とともに重視している労働市場の動向も気になります。9月の豪雇用統計は8月からほぼ横ばいだったことは、ネガティブ要因として捉えられがちです。しかし現在の豪州の労働市場は、1978年に月次統計を開始して以来、失業率は過去最低(一番良い)、労働参加率は過去最高水準(過去最高は2022年7月の66.8%)です。「インフレは予想以上に加速しており、労働市場は引き続き堅調」とRBAが判断すれば、来週の理事会での利上げ幅再拡大は十分あり得ると思います。その場合は、FRBの利上げ幅縮小観測が強まっているだけに、豪ドル買いの圧力は強くなりそうです。

利上げ幅を0.25%で維持。利上げ幅を0.50%に再拡大。どちらもあり得ますので保有ポジションにはご注意ください(10/28時点の市場予想では0.25%利上げが優勢。間を取って0.40%利上げして政策金利をキリの良い3.00%にするのもあり?)

その他にも注目経済指標が盛りだくさん

そのほか、来週は経済イベントが多数予定されており、気が抜けません。以下国別に触れていきたいと思います。

中国
10月31日に国家統計局の公表する10月製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月1日と3日にそれぞれ、10月Caixin製造業PMIと10月Caixinサービス業PMIが発表されます。中国では10月16日~22日に5年に一度の共産党大会が開催され、「68歳になったら引退する」という慣例を破り69歳の習近平国家主席の3期目続投が決まりました。党幹部も習氏の側近で固められたため、今後の中国経済への不透明感が高まっています。前述の各PMIの結果が予想を下回ると、中国経済減速への懸念はさらに強まることとなり、中国と交易関係の強い豪ドルにはネガティブ要因となります。

豪州
豪州では9月小売売上高や9月住宅建設許可件数、9月貿易収支といった主要な経済指標のほかにもRBAによる四半期金融政策報告(7-9月期)が公表されます。前回、4-6月期の四半期金融政策報告では2022年末のインフレ見通しを大幅に修正(5.9%⇒7.75%)したほか、経済成長見通しを下方修正しました。豪経済の見通しが下方修正されると豪ドル売りの圧力がかかってきそうです。そのほか、小売売上高では豪州の家計消費が高インフレ、高金利下でも引き続き堅調に推移しているかどうかを確認することとなります。貿易収支では、鉄鉱石をはじめとした資源価格の下落が貿易黒字幅を縮小させると予想しています。

NZ
NZでは3日に7-9月期の雇用統計が発表されます。失業率は2021年10-12月期に1986年の統計開始以来、最低となる3.2%を記録しました。それ以降3.2%~3.3%と低水準での推移となっていることから、この水準を維持することがNZ準備銀行(RBNZ)が大幅利上げを継続する一つの条件となりそうです。

テクニカル的には

豪ドル円は、日銀・政府による介入(公表はしていない)の影響で一時95円台から92円台へ急落する場面がありましたが、すぐに94円台まで切り返して底堅く推移しています。ただ、上値に関しては98.79円前後を起点とした下落トレンドラインや一目均衡表の分厚い雲が抵抗となり95円台で伸び悩んでいます。そのため、来週は95円台の抵抗となる水準を上抜けられるかが注目です。一目均衡表の雲を上抜けることができれば三役好転で買いシグナルが点灯し、上値模索の展開となる可能性があります。なお、下落トレンドラインに沿って上値が重たい展開が続くことも考えられます。その場合は、上値を切り下げつつ93円付近をサポートに保ち合いとなるか、直近の安値である90.85円前後に向けて下落する展開も頭に入れておきたいです。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平

【豪ドル/円 日足チャート・一目均衡表】

ニュージーランドドル見通し

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ:AUD/JPY:90.50-96.50、NZD/JPY:83.00-88.00

10/31 週のイベント:

10/31 (月) 09:30 豪 9月小売売上高(前月比)
10/31 (月) 10:30 中国 10月製造業購買担当者景気指数(PMI)
11/01 (火) 06:45 NZ 9月住宅建設許可件数(前月比)
11/01 (火) 10:45 中国 10月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI)
11/01 (火) 12:30 豪 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表
11/02 (水) 06:45 NZ 7-9月期四半期就業者数増減(前期比)
11/02 (水) 06:45 NZ 7-9月期四半期失業率
11/02 (水) 09:30 豪 9月住宅建設許可件数 (前月比)
11/03 (木) 09:30 豪 9月貿易収支
11/03 (木) 10:45 中国 10月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)
11/04 (金) 09:30 豪 豪準備銀行(RBA)、四半期金融政策報告

一言コメント:

毎月のことなのですが…豪州、NZ、中国では月末月初に数多くの経済指標が発表されます。そのため、月末月初のハロンズは書くことが盛りだくさん。必然的に月の中旬頃は経済指標の予定も少なく、書くことに苦慮しています。もう少し均等に分けてもらえるとレポートを書く側としては助かるのですが…と、ハロンズを書き始めてかれこれ数年。ずっと思っています。

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ニュージーランドドル見通し
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー社へ入社。8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、Twitterを通してFX初心者向けの情報発信を担当している。

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執筆:外為どっとコム総合研究所 調査部

目次

  • ▼今週の振り返り
  • ▼豪ドルはNZドルに追随? NZ中銀に注目
  • ▼日米祝日でホリデームード
  • ▼豪ドル/円のテクニカル分析
  • ▼11/21 週のイベント
  • ▼一言コメント

今週の振り返り

今週の豪ドル/円は93~94円台を中心に方向感に乏しい値動きとなりました。今週の安値は92.92円前後、高値は94.66円前後で18日14時時点では93.75-80円付近で推移しています。一方、今週のNZドル/円は84.70円前後から86.27円前後のレンジでじり高推移となりました。18日14時時点では86.10-15円付近の高値圏で推移しています。豪ドルについては、豪州の労働関連の経済指標が軒並み好結果となりましたが、いずれも反応は限定的でした。16日に発表された7-9月賃金指数は前年比+3.1%と予想の+3.0%を上回る伸びとなったほか、17日に発表された豪10月雇用統計で失業率が48年ぶりの低水準に並ぶ3.4%に低下し、新規雇用者数が3.22万人増加しましたが、豪中銀(RBA)が利上げペースを再加速させるとの観測には繋がりませんでした。中国の需要減少観測などを背景に原油などの資源価格が下落したことが豪ドルの上値を抑えた面もありました。NZドルについては、特段の材料はなかったもののNZ中銀(RBNZ)の大幅利上げへの期待が相場を支えたようです。(神田)

豪ドルはNZドルに追随? NZ中銀に注目

来週については豪ドル相場に直接的に影響しそうな豪州国内の主なイベントは22日に予定されているロウRBA総裁の講演くらいです。足元の堅調な雇用指標を受けて、総裁の考えが利上げペースを再び加速させる方向に傾いていないか確認したいところです。一方、NZではNZ中銀(RBNZ)が政策金利の発表を23日に予定しており、市場の注目を集めています。RBNZは追加利上げに動く公算ですが、利上げ幅を巡っては市場の見方が割れています。前回の10月会合では75bp(0.75%)の利上げを議論したことも明らかにた上で(結果は50bp利上げ)、「コア消費者物価上昇率はあまりにも高く、労働資源が不足している」としてタカ派姿勢を強調しました。そうした中、市場では今回の利上げ幅について50bpと75bpの見方が交錯している模様です。短期的なNZドルの値動きとしては50bp利上げなら下落、75bpなら上昇すると考えられます。中期的にはRBNZがさらなる追加利上げに前向きな姿勢を示すかがカギとなるでしょう。RBNZの決定を受けてNZドル/円が動いた方向に、豪ドル/円もつれて動きやすいと考えられます。(神田)

日米祝日でホリデームード

来週23日は日本が勤労感謝の日で祝日。翌24日はサンクスギビング(感謝祭)で米国が祝日です。米国ではクリスマス商戦が始まる25日のブラックフライデーも「ほぼ」祝日なので、週後半は市場参加者が激減しそうです。何事もなければ、ホリデームードに包まれて静かな為替マーケットになりそうですが、もし突発的な材料が飛び出せば、流動性の低下がアダになって普段以上に大きく反応する可能性があります。こればかりは、いくら警戒しても防ぎようがないので、予め持ち高を減らすなどしてリスクに備えておくのも一考かもしれません。(神田)

豪ドル/円のテクニカル分析

豪ドル/円は、94円を挟んだ値動きで方向感が定まっていません。チャート形状が高値切り下げ、安値切り上げで三角保ち合いを形成しています。また、一目均衡表の各ラインが密集していることからも方向感が定まりにくい状況であることがわかります。来週は、三角保ち合いの上限下限どちらかをブレイクアウトして方向感が出るかに注目です。ただし、ブレイクアウトしたとしても92円前後がサポート、95円前後がレジスタンスとして意識されているためレンジ推移となる可能性があります。同サポート/レジスタンス水準を日足終値でブレイクアウトすることになれば、方向感が定まり下値は90.50円付近、上値は96.50円付近を目指した展開となりそうです。(宇栄原)

【豪ドル/円 日足チャート・一目均衡表】

ニュージーランドドル見通し

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ:AUD/JPY:90.50-96.50、NZD/JPY:84.00-88.00

11/21 週のイベント:

11/21 (月) 10:15 中国 ローンプライムレート(1年物、5年物)公表
11/22 (火) 06:45 NZ 10月貿易収支
11/22 (火) 16:00 ロウRBA総裁講演
11/23 (水) 10:00 NZ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
(小俣)

一言コメント:

いつも執筆している中村研究員がお休みのため、他の研究員とともに今回このレポートを書き上げました。11月中旬となり、朝は白い息が出るくらい寒くなってきました。家ではまだ暖房をつけず、寒さ対策のためにレッグウォーマーを買いました。おかげでぽかぽかです。寒くなると体調も崩しやすくなりますのでみなさまもお気を付けください!(小俣)

ニュージーランドドル見通し
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。

ニュージーランドドル見通し
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。その中で、今後の相場動向を予測するため価格変動の分析能力が必要だと感じ、国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)を取得。その後、24時間変動し続ける外国為替市場の魅力を伝えるべく2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。現在はこれまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。

ニュージーランドドル見通し
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
小俣 凪子(おまた・なぎこ)
大学卒業後、約2年メガバンクで勤務し個人営業で投資信託や保険販売等を行う。 さまざまな業務に携わっていく中で、外国為替の世界に興味を持ち2021年3月(株)外為どっとコム総合研究所入社。 銀行勤務時代に得た接客スキルを活かしながら、TwitterやYouTubeなどSNSで個人投資家に寄り添った情報発信を精力的に行っている。

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ニュージーランド通貨の見通しは?

2022年10月時点でNZドルの金利は3.00%と高い水準となっています。 今後も、RBNZが金利を引き上げ続ければ日本との金利差がさらに大きくなり、NZドル円のレートが今以上に円安NZドル高となる可能性も否定できません。 2022年はNZドル円以外の通貨も変動率(ボラティリティ)が高くなっています。

ニュージーランドドルは1ドル何円?

ニュージーランドドル を 日本円 に換算する.

ニュージーランドの利上げ予想は?

RBNZ(ニュージーランド準備銀行)は10月5日(現地、以下同様)、金融政策決定会合を開催し、政 策金利を3.0%から3.5%に引き上げることを決定しました。 利上げは昨年10月から8会合連続で、0.5% ポイントの利上げ幅は5会合連続になります。

ニュージーランドドル 両替 どこで?

ニュージーランドで日本円をニュージーランドドル両替できるところは、空港や市中の銀行・両替所です。 最速で両替をする場合は、空港にある銀行や両替所を利用しましょう。 航空便の発着にあわせて営業しているところがほとんどなので、到着時に利用できるのが◎。 両替所は銀行よりも営業時間が長いため利用しやすのが魅力です。