すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

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プレスリリース 統合失調症に関わるドパミン受容体の構造解明―副作用を抑えた薬の迅速な探索・設計が可能に―

プレスリリース

京都大学
東北大学
日本医療研究開発機構

概要

京都大学大学院医学研究科林到炫(イム ドヒョン)助教、岩田想教授(兼理化学研究所グループディレクター)、島村達郎特定講師らの研究グループは、東北大学大学院薬学研究科井上飛鳥准教授、同多元物質科学研究所南後恵理子教授(兼理化学研究所客員研究員)、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室登野健介グループリーダーらとの共同研究により、ドパミンD2受容体の立体構造を、X線自由電子レーザー(XFEL)1)を用いて解明しました(図1)。ドパミンD2受容体は、ドパミンにより活性化されて情報伝達を行います。ドパミンは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質です。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられています。統合失調症の治療薬はドパミンD2受容体に結合して不活性化します。これらの薬には、近縁の受容体にも作用することで生じる体重増加、眠気、口の渇きなどの副作用が知られています。本研究により、ドパミンD2受容体に薬が結合する部分(ポケット)は、大きく異なる二つの形をとりうることが分かりました。また、ポケットの近くにドパミンD2受容体に特有の空洞が存在することがわかりました。薬が結合するポケットの構造情報は、合理的な新薬の探索・設計に役立ちます。今後は、本研究で解明されたドパミンD2受容体の構造情報を基に、より有効性が高く副作用の少ない治療薬の迅速な開発が可能になると期待されます。本成果は、2020年12月22日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されます。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。
図1 (左)脳内ドパミンの働き及びその関連疾患、(右)本研究により明らかになったドパミンD2受容体の立体構造と抗精神薬スピペロンの結合様式。

背景

統合失調症は100人に1人程度がかかる精神疾患です。統合失調症の症状には、妄想・幻覚や意欲の低下などがあります。現在、統合失調症の治療薬として主に使用されているのは、非定型抗精神病薬と呼ばれる薬です。これらの薬は、脳に存在するドパミンD2受容体とセロトニン2A受容体という2種類のタンパク質の働きを抑制する(不活性化する)ことで効果を発揮しています。しかし、ドパミンD2受容体やセロトニン2A受容体と類似するセロトニン2C受容体やヒスタミンH1受容体など他のアミン受容体2)にも結合して不活性化することで起こる、口の渇き、眠気、体重増加、高血糖、起立性低血圧などの副作用が存在します。

近年の創薬分野では、標的タンパク質の立体構造を基にした創薬戦略(Structure-based drug design)3)が進められています。私たちは副作用が少ない抗精神病薬の開発に役立てるため、関連する受容体の構造解析研究を進めており、昨年、セロトニン2A受容体の構造を発表しました(Kimura et al. 2019, Nat.Struct.Mol.Biol. 26: 121-128)。本研究では、ドパミンD2受容体の立体構造の解明を試みました。

研究手法・成果

本研究では、抗精神病薬であるスピペロン4)が結合したドパミンD2受容体の不活性型構造を、X線結晶構造解析の手法を用いて決定しました。そのためにはドパミンD2受容体の結晶を取得する必要がありましたが、独自に設計した安定性の高い水溶性タンパク質をドパミンD2受容体の不安定な部分と置換すること、および構造を固定する抗体フラグメントを結合させることで結晶を取得することに成功しました。また、小さな結晶から良好なデータを取得するためには、新世代のX線であるXFELの使用が必須でした。このXFELを利用したデータ測定は、日本のXFEL施設であるSACLA5)で行いました。

解析の結果、ドパミンD2受容体の全体構造やスピペロンが結合しているポケットは、他のアミン受容体と良く似た構造をとっていました。このことは、抗精神病薬が他のアミン受容体にも結合し、副作用を生じる原因の一つであると考えられます。一方で、本研究で決定したドパミンD2受容体の不活性型構造は、外国のグループが発表したドパミンD2受容体の不活性型構造と比べ、ポケットの入り口付近が大きく異なっていました(図2)。この結果は、ドパミンD2受容体は大きく異なる複数の不活性型を持つことを示唆しています。これまで様々な種類の受容体の立体構造が発表されてきましたが、不活性型構造がここまで大きく変化していた例は他では報告されていません。本研究ではさらに、アミン受容体ファミリーで構造が類似しているポケットの隣に、ドパミンD2受容体に特有の空洞が存在することが明らかになりました(図3)。また、セロトニン2A受容体でもアミノ酸の向きを変えることで類似の空洞を形成しうることが示唆されました。以上の結果は、変異体実験の結果からも支持されました。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。
図2 本研究で解明したスピペロン結合型(オレンジ色)と外国のグループが発表したリスペリドン6)結(緑色)のドパミンD2受容体の比較。薬が結合するポケットの入り口を細胞外側から見た図。赤矢印は、スピペロン結合型とリスペリドン結合型で構造が大きく異なる部分を示す。
すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。
図3 スピペロン結合型(オレンジ色)とリスペリドン結合型(緑色)のドパミンD2受容体の断面図。上が細胞外側になる。赤点線で囲まれた部分が、本研究で見つかったスピペロン結合型ドパミンD2受容体に特有の空洞。

波及効果、今後の予定

本研究では、統合失調症の治療薬の標的という観点から、ドパミンD2受容体の不活性型構造の解明を目指して研究を進めました。その結果、これまでに発表されていたものとは大きく異なるドパミンD2受容体の不活性型構造を解明できました。また、本研究で新たに見つかった、ドパミンD2受容体に特有の空洞に結合する化合物は、類似する他のアミン受容体には結合しにくいと考えられます。そのため本研究の成果は、副作用の少ない抗精神病薬の合理的な開発・設計に役立つと期待されます。また、ドパミンD2受容体を活性化する化合物は、パーキンソン病の治療薬になります。そのため本研究により取得されたドパミンD2受容体の構造情報は、パーキンソン病の治療薬の合理的な探索・設計にも役立つ可能性があります。

研究プロジェクトについて

本研究は、日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)JP20am0101079など、多くの支援を受けています。

論文タイトルと著者

タイトルStructure of the dopamine D2 receptor in complex with the antipsychotic drug spiperone(ドパミンD2受容体に抗精神病薬であるスピペロンが結合した状態の構造解析)著者Dohyun Im, Asuka Inoue, Takaaki Fujiwara, Takanori Nakane, Yasuaki Yamanaka, Tomoko Uemura, Chihiro Mori, Yuki Shiimura, Kanako Terakado Kimura, Hidetsugu Asada, Norimichi Nomura, Tomoyuki Tanaka, Ayumi Yamashita, Eriko Nango, Kensuke Tono, Francois Marie Ngako Kadji, Junken Aoki, So Iwata, Tatsuro Shimamura掲載誌Nature CommunicationsDOI10.1038/s41467-020-20221-0

用語解説

お問い合わせ先

島村達郎(しまむらたつろう)
京都大学医学研究科・特定講師
TEL:075-753-4389 FAX:075-753-4660
E-mail:t.shimamura“AT”mfour.med.kyoto-u.ac.jp

井上飛鳥(いのうえあすか)
東北大学大学院薬学研究科・准教授
TEL:022-795-6861
E-mail:iaska“AT”tohoku.ac.jp

AMED事業に関すること

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
創薬事業部 医薬品研究開発課 創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)
電話:03-6870-2219 FAX:03-6870-2244
E-mail:20-ddlsg-16“AT”amed.go.jp

※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

掲載日 令和2年12月23日

最終更新日 令和2年12月23日

医療薬学Ⅰ

問121
次の薬理作用・現象-薬物の対応のうち、正しいものの組合せはどれか。

  薬理作用・現象 ―――   薬物

ノルエピネフリンに対しsupersensitivity(感作)を起こす。  ――― レセルピン

昇圧反応は、反復静注により急激なdesensitization(脱感作)を起こす。  ――― 塩酸フェニレフリン×

解:

昇圧反応は、反復静注により急激なdesensitizationを起こす。(=タキフィラキシー)  ――― チラミン etc

臭化ベクロニウムと併用した場合、potentiation(増強)を起こす。  ――― メチル硫酸ネオスチグミン×

解:

スキサメトニウムと併用した場合、potentiationを起こす。  ――― メチル硫酸ネオスチグミン

急激な投与中止によりrebound phenomenon(リバウンド現象)を起こす。  ――― プレドニゾロン

Delayed action(遅延作用)を示す。  ――― ワルファリンカリウム


問122
次の構造式をもつ薬物(ア~エ)について、記述a~dとの対応で正しい組合せはどれか。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

構造式 薬物名 特徴
ドパミン 神経伝達物質である。
エフェドリン モノアミン酸化酵素とカテコール-O-メチル転移酵素のいずれによっても不活性化されない。
チラミン 間接型アドレナリン作動薬である。
イソプレナリン α-アドレナリン作用はほとんどもたず、強力なβ-アドレナリン作用を発現する。


問123
局所麻酔薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 基本的にはNa+チャネル遮断薬である。
b 一般に太い神経の伝導を早く抑制する。×

解:一般に細い神経の伝導を早く抑制する。

c 高血圧症や糖尿病の患者では、エピネフリン添加の局所麻酔薬(脊椎麻酔用は除く)は禁忌である。
d 組織のpHによって効力が影響される。
e 中枢作用として痙れんや振戦が現れたら、塩化スキサメトニウムの点滴で処置する。×

解:中枢作用として痙れんや振戦が現れたら、ジアゼパムチオペンタールで処置する。



問124
催眠薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ベンゾジアゼピン誘導体は、ベンゾジアゼピン受容体に結合し、γ-アミノ酪酸(GABA)のGABAA受容体への結合能を亢進させる。
b トリアゾラムは作用時間の短い催眠薬で、副作用として健忘を起こしやすい。
c ニトラゼパムは、治療量ではレム睡眠の抑制が強い。×

解:ニトラゼパムは、治療量ではレム睡眠の抑制が弱い

d ブロムワレリル尿素には薬物依存性があり、服用中断により痙れん発作、せん妄などがみられる。
e ペントバルビタールカルシウムは、上行性脳幹網様体賦活系の抑制作用により睡眠を発現する。


問125
精神疾患治療薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 塩酸クロルプロマジンは、脳幹のドパミンD2受容体を遮断し、アデニル酸シクラーゼ活性を抑制して、精神興奮性を抑制する。×

解:塩酸クロルプロマジンは、脳幹のドパミンD2受容体を遮断し、アデニル酸シクラーゼ活性を促進して、精神興奮性を抑制する。

b マレイン酸フルフェナジンは、末梢性アドレナリンα1受容体遮断作用も有し、起立性低血圧を起こす。
c 炭酸リチウムは、神経伝達物質で活性化されたホスホリパーゼCによるホスファチジルイノシトール代謝回転を亢進させる。×

解:炭酸リチウムは、神経伝達物質で活性化されたホスホリパーゼCによるホスファチジルイノシトール代謝回転を抑制させる。

d マレイン酸フルボキサミンは、中枢・末梢セロトニン作動性神経終末で特異的にセロトニンの再取り込みを抑制する。
e スルピリドは、うつ病には低用量で、精神分裂病には高用量で用いる。


問126
鎮痛薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a クエン酸フェンタニルは、合成麻薬であり、μ受容体刺激薬として作用し、鎮痛効果はモルヒネよりも低用量で現われる。
b 塩酸ナロキソンは、μ受容体を比較的特異的に遮断し、急性のモルヒネ中毒の治療に用いられる。
c 塩酸ペチジンは非麻薬性鎮痛薬で、中枢神経興奮作用がある。×

解:塩酸ペチジンは麻薬性鎮痛薬で、中枢神経興奮作用がある。

d ペンダゾシンは、κ受容体刺激作用と弱いμ受容体遮断作用を持つ非麻薬性鎮痛薬である。
e 塩酸モルヒネは、第IV脳神経(動眼神経)核に作用して散瞳を来たし、化学受容器引金帯を直接刺激するために、悪心・嘔吐を生じる×

解:塩酸モルヒネは、第脳神経(虹彩への副交感神経の起始核)核に作用して縮瞳を来たし、化学受容器引金帯を直接刺激するために、悪心・嘔吐を生じる



問127
薬物―薬理作用―適応の対応のうち、正しいものの組合せはどれか。

薬物 薬理作用 適応
a ロキソプロフェンナトリウム --- シクロオキシゲナーゼ阻害 --- 消炎・鎮痛
b 塩酸グラニセトロン --- ドパミンD2受容体遮断× --- 抗悪性腫瘍薬による悪心・嘔吐
解: 塩酸グラニセトロン --- セロトニン5-HT3受容体遮断 --- 抗悪性腫瘍薬による悪心・嘔吐
c ロサルタンカリウム --- アンギオテンシンⅡ受容体遮断 --- 高血圧症
d 塩酸エピナスチン --- ヒスタミンH1受容体遮断 --- アレルギー性鼻炎
e アルプロスタジルアルファデックス --- トロンボキサンA2受容体刺激× --- 皮膚潰瘍
解: アルプロスタジルアルファデックス --- プロスタグランジン解:E1薬 --- 四肢潰瘍

問128
抗アレルギー薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a フマル酸ケトチフェンは、好酸球からのヒスタミンの遊離を特異的に抑制するので、気管支ぜん息に有効である。×

解:フマル酸ケトチフェンは、肥満細胞からのヒスタミンの遊離を特異的に抑制するので、気管支ぜん息に有効である。

b プランルカスト水和物は、ロイコトリエン受容体を遮断することによって、じん麻疹に著効を示す。×

解:プランルカスト水和物は、ロイコトリエン受容体を遮断することによって、気管支喘息に著効を示す。

c 塩酸オザグレルは、トロンボキサン合成酵素を阻害することにより、気道過敏性を抑制する。
d トシル酸スプラタストは、インターロイキン-1と腫瘍壊死因子 (TNF) の産生を強力に阻害するので、アナフィラキシーショックに用いられる。×

解:トシル酸スプラタストは、ヘルパーT細胞からのインターロイキン4(IL-4)、IL-5の産生抑制を介してので、Ⅰ型アレルギーに用いられる。

e プロピオン酸ベクロメタゾンやプロピオン酸フルチカゾンの鼻腔内噴霧は、アレルギー性鼻炎に有効である。


問129
慢性心不全に対するアンギオテンシン変換酵素阻害薬マレイン酸エナラプリルの作用機序のうち、正しいものの組合せはどれか。
a アルドステロン分泌亢進×
b 末梢血管抵抗の減少
c 交感神経からのノルエピネフリン遊離促進×
d 心筋肥大の抑制


問130
抗不整脈薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 塩酸アミオダロンは、K+チャネルを遮断する。
b アドレナリンβ受容体遮断薬の抗不整脈作用に、膜安定化作用は必須である。×

解:アドレナリンβ受容体遮断薬の抗不整脈作用に、膜安定化作用は必須ではない。

c 塩酸リドカインと塩酸メキシレチンは、Na+チャネルを遮断する。
d 硫酸キニジンは、QT問隔を延長しない。×

解:硫酸キニジンは、QT問隔を延長する



問131
抗高血圧薬の降圧に伴う代償性反応(心拍数増加又は体内水分貯留)に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 塩酸ヒドララジンは、塩酸ジルチアゼムより代償性反応が強い。
b 代償性反応の一部は利尿薬で抑制される。
c 代償性反応の一部は、アドレナリンβ1受容体遮断薬で抑制される。
d アンギオテンシン変換酵素阻害薬の代償性反応は強い。×

解:アンギオテンシン変換酵素阻害薬の代償性反応は弱い

e 塩酸プラゾシンの代償性頻脈は、メシル酸フェントラミンに比べ著しい。×

解:塩酸プラゾシンの代償性頻脈は、メシル酸フェントラミンに比べて弱い



問132
利尿薬の作用に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ヒドロクロロチアジドは、慢性投与により尿中へのCa2+排泄を促進させる。×

解:ヒドロクロロチアジドは、慢性投与により尿中へのCa2+排泄を抑制させる。

b D-マンニトールは、脳浮腫の治療に有用である。
c フロセミドはヘンレ係蹄上行脚に作用し、炭酸脱水酵素阻害薬よりと同程度の利尿を起こす。×

解:フロセミドはヘンレ係蹄上行脚に作用し、炭酸脱水酵素阻害薬より強いの利尿を起こす。

d アセタゾラミドは、緑内障やてんかんの治療にも用いられる。


問133
呼吸器系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ジモルホラミンは、呼吸中枢を刺激して呼吸興奮を起こすが、血圧上昇作用もある。
b リン酸コデインは、塩酸モルヒネより鎮痛作用、依存性、呼吸中枢抑制作用は弱いが、鎮咳作用は強い。×

解:リン酸コデインは、塩酸モルヒネより鎮痛作用、依存性、呼吸中枢抑制作用、鎮咳作用は弱い。

c 臭化水素酸デキストロメトルファンは、右旋性(d体)合成オピオイド化合物で、強い鎮咳作用と鎮痛作用を有するが、依存形成作用も強い。×

解:臭化水素酸デキストロメトルファンは、右旋性(d体)合成オピオイド化合物で、強い鎮咳作用を有するが、鎮痛作用、依存形成作用はない

d 塩酸アンブロキソールは、肺胞II型細胞からの肺サーファクタントの分泌を増加させる。
e 塩酸ドキサプラムは、主として末梢性化学受容器を介して呼吸中枢を刺激する。


問134
消化性潰瘍治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a テプレノンは、粘膜細胞のムスカリンM1受容体に選択的に作用して、粘膜防御機能を高める。×

解:テプレノンは、胃粘膜保護作用、胃粘膜血流量増加作用を有し、粘膜防御機能を高める。

b 塩酸セトラキサートは、胃粘膜組織でのPGE2及びPGI2生合成を抑制して、微小循環を改善する。×

解:塩酸セトラキサートは、抗プラスミン作用、抗トリプシン作用を有する。

c アズレンには、抗炎症作用以外にヒスタミン遊離抑制作用も知られている。
d ランソプラゾールは、壁細胞H+,K+-ATPaseを阻害して酸分泌を抑制する。
e 塩酸ラニチジンは、ヒスタミンH2受容体遮断作用による強力な胃酸分泌抑制作用と、ペプシン分泌抑制作用を持っている。


問135
消化器系機能障害に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a クエン酸モサプリドは、消化管内在神経叢のセロトニン5-HT4受容体を刺激して、アセチルコリンの遊離を抑制して消化管機能を低下させる。×

解:クエン酸モサプリドは、消化管内在神経叢のセロトニン5-HT4受容体を刺激して、アセチルコリンの遊離を亢進して消化管機能を促進させる。

b ドンペリドンは、中枢性のドパミンD2受容体遮断作用により、上部消化管機能調整と制吐作用を示す。×

解:ドンペリドンは、CTZ(血液-脳関門の外に存在)、消化管のドパミンD2受容体遮断作用により、制吐作用と上部消化管機能調整を示す。

c 塩酸ロペラミドは、腸管のコリン作動性神経機能を低下させて、ぜん動運動を抑える。
d 酸化マグネシウムは、腸管で炭酸水素マグネシウムになり、腸内浸透圧を高めてぜん動運動を促進する。
e センノシドは、小腸で吸収されて肝臓の薬物代謝酵素でレインアンスロンに代謝され、大腸のぜん動運動を亢進する。×

解:センノシドは、大腸で腸内細菌の作用によりレインアンスロンを生成し、大腸のぜん動運動を亢進する。



問136
子宮に作用する薬物に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 塩酸ピペリドレートは、アドレナリンα2受容体遮断薬であり、子宮弛緩薬として用いられる。×

解:塩酸ピペリドレートは、合成抗ムスカリン薬であり、鎮けい薬・流早産予防薬として用いられる。

b マレイン酸エルゴメトリンは、子宮収縮作用を有し、分娩後の弛緩出血に使用される。
c オキシトシンは、下垂体前葉ホルモンであり、子宮収縮作用を有する。×

解:オキシトシンは、下垂体葉ホルモンであり、子宮収縮作用を有する。

d ジノプロストは妊娠子宮を収縮させる。
e 塩酸リトドリンは、アドレナリンβ2受容体刺激薬であり、切迫早産の際に用いられる。


問137
貧血治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a メコバラミンは、核酸代謝を促進して悪性貧血に著効を示す。
b クエン酸第一鉄ナトリウムは、経口では吸収されないため、注射剤として用いる。×

解:クエン酸第一鉄ナトリウムは、Fe2+の形で経口では吸収される

c 鉄は、ヘモグロビンのグロビンたん白質中に取り込まれる。×

解:鉄は、鉄貯蔵たん白質アポフェリチンと結合してフェリチンとして肝に貯蔵されるかトランスフェリンと結合して血液中に存在する。

d エリスロポエチンは、手術予定患者の自己血貯血に使用されることがある。
e メチルプレドニゾロンは、骨髄抑制を起こすので、再生不良性貧血には禁忌である。×

解:メチルプレドニゾロンは、糖質ステロイド薬で、骨髄抑制作用はない



問138
抗血液凝固薬及び抗血栓薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ワルファリンカリウムは、ビタミンKに拮抗して、プロトロンビンなどの血液凝固因子の肝臓での生合成を促進する。×

解:ワルファリンカリウムは、ビタミンKに拮抗して、プロトロンビンなどの血液凝固因子の肝臓での生合成を抑制する。

 b アスピリンは、血小板シクロオキシゲナーゼを阻害して血栓形成を防止する。
c シロスタゾールは、血小板ホスホジエステラーゼIIIを阻害してサイクリックAMP濃度を高め、血小板の凝集・顆粒放出を抑制する。
d ヘパリンナトリウムは、陽性荷電の大きいムコ多糖体で、アンチトロンビンIIIに結合してその作用を発現する。×

解:ヘパリンナトリウムは、性荷電の大きいムコ多糖体で、アンチトロンビンIIIに結合してその作用を発現する。



問139
感覚器系障害治療薬に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 グルタチオンの点眼は、変性した水晶体たん白質の機能を回復させる。×

解:グルタチオンの点眼は、水晶体たん白質の機能が変性するのを予防させる。

2 緑膿菌による結膜炎に用いる硫酸ゲンタマイシンは、細菌の80Sリボソームに結合してたん白質合成開始を阻害する。×

解:緑膿菌による結膜炎に用いる硫酸ゲンタマイシンは、細菌の30Sリボソームに結合してたん白質合成開始を阻害する。

3 眩暈症(めまい)に用いるメシル酸ベタヒスチンは、内耳微小循環を改善する。
4 硝酸ナファゾリンは、血管のアドレナリンα1受容体を遮断して、鼻閉に対してすみやかに症状を改善する。×

解:硝酸ナファゾリンは、血管のアドレナリンα1受容体を刺激して、鼻閉に対してすみやかに症状を改善する。

5 尿素は、その脱水作用によりかゆみを伴う乾皮症などの皮膚組織機能障害を改善する。×

解:尿素は、ケラチンを軟化・脱落させかゆみを伴う乾皮症などの皮膚組織機能障害を改善する。



問140
糖尿病治療薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 一般にインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)では、インスリンの効果が低い。×

解:一般にインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)では、インスリン療法以外にない

b スルホニル尿素類は、ATP依存性K+チャネルを遮断して、インスリン分泌を高める。
c 一般にスルホニル尿素類は、アルブミンと強く結合する。
d アカルボースは、インスリン抵抗性改善薬であり、組織のインスリン感受性を増強する。×

解:アカルボースは、食後過血糖改善薬であり、またピオグリタゾンインスリン抵抗性改善薬であり、組織のインスリン感受性を増強する。



問141
骨粗しょう症治療薬の作用に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a メナテトレノンは、活性型ビタミンD3存在下に骨形成作用のあるオステオカルシンの生成を促進する。
b アルファカルシドールは、腸管でのCa吸収を促進して血清Ca2+を上昇させる。
c カルシトニン製剤は、破骨細胞による骨吸収を抑制するが、骨粗しょう症性疼痛には無効である。×

解:カルシトニン製剤は、破骨細胞による骨吸収を抑制し、骨粗しょう症性疼痛にも有効である。

d エチドロン酸二ナトリウムは、ヒドロキシアパタイトの結晶形成を亢進し、破骨細胞の機能を抑制する。×

解:エチドロン酸二ナトリウムは、骨基質に結合し、破骨細胞の機能を抑制する。

e イプリフラボンは、エストロゲン拮抗薬であり、骨吸収を促進する。×

解:イプリフラボンは、直接破骨細胞活性を抑える作用があり、また間接的にも作用がある。



問142
痛風治療薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a コルヒチンは、局所組織への好中球の遊走を抑制する。
b アロプリノールは、キサンチン酸化酵素を活性化し、尿酸生合成を抑制する。×

解:アロプリノールは、キサンチン酸化酵素を阻害し、尿酸生合成を抑制する。

c プロベネシドは、尿細管の有機陰イオントランスポーターを尿酸と競合することにより、尿酸の再吸収を抑制する。
d ベンズブロマロンは、尿細管における尿酸の再吸収を特異的に阻害するが、尿細管分泌は阻害しない。
e ブコロームには、抗炎症・抗リウマチ作用以外に尿酸排泄作用がある。


問143
抗ウイルス薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a リトナビルは、逆転写酵素の基質となっているヌクレオチドと競合し、ウイルスの逆転写酵素の活性を阻害する。×

解:リトナビルは、抗HIV薬であり、HIV-1、2のプロテアーゼ活性を競合的に阻害する。

b インターフェロンアルファは2',5'-オリゴアデニル酸の合成を介して感染細胞内のRNA分解酵素を活性化し、ウイルスのRNAを分解する。
c ガンシクロビルは、サイトメガロウイルス感染細胞内で活性化され、DNAポリメラーゼを阻害する。
d 塩酸アマンタジンは、ウイルスの脱殻の段階を阻止し、核内への侵入を阻害する。
e ジダノシンは、ウイルスのプロテアーゼ活性を阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。×

解:ジダノシンは、HIVウィルスの逆転写酵素を競合的に阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。



問144
抗菌薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ベンジルペニシリンカリウムは、N-アセチルグルコサミンにペンタペプチドを結合させるトランスペプチダーゼを阻害する。×

解:ベンジルペニシリンカリウムは、細菌細胞壁の合成過程において、ペプチドグリカン・ペプチド転移酵素に競合的に作用し架橋形成を阻害する。

b バンコマイシンは、細胞壁合成を阻害する
c セファロリジンは、セファロスポリナーゼによりラクタム環が開裂される。
d テトラサイクリンは、30Sリボソームに結合してアミノアシルtRNAがmRNA・30Sリボソーム複合体に結合するのを阻害する。
e エリスロマイシンは、30Sリボソームに結合して、アミノアシルtRNAの転移を阻害する。×

解:エリスロマイシンは、50Sリボソームに結合して、アミノアシルtRNAの転移を阻害する。



問145
抗真菌薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a アムホテリシンBは、真菌のコレステロール合成を抑制することにより膜機能を抑制する。×

解:アムホテリシンBは、真菌細胞膜のステロールと結合することにより膜機能を抑制する。

b ミコナゾールは、ラノステロールのC-14脱メチル酵素を阻害し、エルゴステロール欠乏をきたす。
c フルコナゾールは、シトクロムP450 (CYP) 3Aを誘導することで薬物相互作用を起こす。×

解:フルコナゾールは、シトクロムP450 (CYP) 3Aを阻害することで薬物相互作用を起こす。

d トリコマイシンは、真菌膜ステロールと結合して、膜機能を障害する。
e 塩酸テルビナフィンは、真菌細胞のスクワレンエポキシターゼを阻害する。


問146
抗悪性腫瘍薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ビンクリスチンはチュブリンと結合し、細胞分裂を阻止する。
b シスプラチンは紡錘糸の形成を阻止し、細胞周期をG1期で停止させる。×

解:シスプラチンはDNA合成を阻止し、細胞周期には依存しない

c エトポシドはDNA合成を阻害し、S期からG2期に強い作用を示す。
d マイトマイシンCはDNA二重鎖間に架橋を形成する。
e イリノテカンはトポイソメラーゼIIを阻害する。×

解:イリノテカンはトポイソメラーゼIを阻害する。



問147
薬物1~4は、抗悪性腫瘍薬の化学構造を示したものである。a~dの記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

a 薬物1(シクロホスファミド)は、作用発現に代謝的活性化を必要としない。×

解:薬物1(シクロホスファミド)は、作用発現に代謝的活性化を必要とする

b 薬物2(メトトレキサート)は、ジヒドロ葉酸還元酵素と結合し、酸化型の葉酸を枯渇させる。×

解:薬物2(メトトレキサート)は、ジヒドロ葉酸還元酵素と結合し、還元型の葉酸を枯渇させる。

c 薬物3(カモフール)は、その代謝物がチミジル酸合成酵素を阻害する。
d 薬物4(ドキソルビシン)は、酸化還元反応の過程で活性酸素を生成する。


問148
薬物の発生・生殖器障害に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 器官形成期においては、胎児は薬物による影響を最も受けやすい。
b エトレチナートは、ヒトにおいて催奇形性がある。
c 器官形成期以後は、薬物による発生毒性は生じない。×

解:器官形成期以後も、薬物による発生毒性は生じることがある。

d ジエチルスチルベストロールは、男児と女児いずれにも生殖器官や生殖機能に異常を起こす。
e ヒトで認められているサリドマイドの催奇形性作用は、実験動物では再現できない。×

解:ヒトで認められているサリドマイドの催奇形性作用は、実験動物で再現されている



問149
中毒治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a アルコール依存症治療薬のジスルフィラムは、主として肝臓のアルデヒド脱水素酵素を阻害することにより、血中のアセトアルデヒド濃度を上昇させる。
b メシル酸デフェロキサミンは、慢性鉛中毒の治療に用いるキレート剤である。×

解:メシル酸デフェロキサミンは、慢性中毒の治療に用いるキレート剤である。

c ヨウ化プラリドキシムは、有機リン剤によりカルバモイル化されたコリンエステラーゼを活性化させる。×

解:ヨウ化プラリドキシムは、有機リン剤によりリン酸化されたコリンエステラーゼを活性化させる。

d ジメルカプロールは、ヒ素、水銀、鉛など多くの急性金属中毒の治療に用いられるが、鉄やカドミウム中毒には使用不可である。
e フルマゼニルは、中枢性ベンゾジアゼピン受容体に高い親和性を有し、ベンゾジアゼピン系薬物の急性中毒の特異的拮抗薬として用いられる。


問150
次の薬物―主な薬理作用―有害作用の組合せのうち、正しいものの組合せはどれか。

薬物 主な薬理作用 有害作用
a シンバスタチン --- コレステロール低下 --- 横紋筋融解症
b 塩酸メチルフェニデート --- 中枢興奮 --- 痙れん
c 二フェジピン --- 血圧低下 --- 肺繊維症×
解: 二フェジピン --- 血圧低下 --- 反射性頻脈
d カプトプリル --- 血圧上昇× --- 血管浮腫×
解: カプトプリル --- 血圧低下 --- 空咳
e クロフィブラート --- トリグリセリド低下 --- 錯乱×
解: クロフィブラート --- トリグリセリド低下 --- 横紋筋融解症

問151
非撹拌水層は上皮細胞の膜表面近傍に存在し、薬物はこの層を拡散することで細胞膜に到達する。次の記述は薬物の小腸吸収過程に及ぼす非撹拌水層の影響に関するものである。正しいものの組合せはどれか。ただし、血流による吸収への影響は無視できるものとする。
a 小腸上皮細胞膜透過が能動輸送による場合、非撹拌水層における拡散過程は見かけの吸収速度に影響しない。×

解:膜透過機構に関わらず、一般に膜透過性の高い薬物の場合、非撹拌水層における拡散過程は見かけの吸収速度に影響する

b 薬物の分子量が小さいほど、非撹拌水層における拡散速度は低い。×

解:薬物の分子量が小さいほど、非撹拌水層における拡散速度は高い

c 吸収が膜透過と非撹拌水層における拡散の両方により影響を受ける場合、非撹拌水層が厚いほど見かけの吸収速度は低い。
d 小腸上皮細胞から管腔側に排出されたH+は、非撹拌水層に滞留し、H+勾配を駆動力とする薬物の吸収速度を増大する。


問152
次の図A~Eは、各種徐放性製剤のバイオアベイラビリティ(薬の循環血流中に入る相対的な速度 (rate)と量 (extent))に対する食事の影響を示した血中濃度時間曲線である。これらの図とa~eの記述との最も適切な組合せはどれか。図中の( : )は、最大血中濃度到達時間を示している。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

a 食事によりrate及びextentが低下した。
b 食事によりrateは低下したが、extentへの影響は見られなかった。
c 絶食時は放出制御型製剤の特徴を示しているが、食事により放出が顕著に促進され、extentが約2倍に増大した。
d 食事によりrateは低下したが、extentには増大が見られた。
e 腸溶性顆粒を含有するカプセル剤であり、rateもextentも食事の影響は受けなかった。

A B C D E
1 d a b e c
2 c e d a b
3 a d c e b
4 c a d b e
5 d c a b e


問153
経口投与時の吸収性に及ぼす製剤学的又は生理学的要因に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ニフェジピンは水溶性高分子のポリビニルピロリドンを用いて固体分散体とすると、溶解速度が低下して、経口投与時の吸収性が低下する。×

解:ニフェジピンは水溶性高分子のポリビニルピロリドンを用いて固体分散体とすると、溶解速度が向上して、経口投与時の吸収性が増加する。

b グリセオフルビンを微粉化すると溶解速度が増加して、吸収性が増加する。
c ワルファリンカリウムは、胃内容排出を促進するコレスチラミンとの併用によって吸収が増加する。×

解:ワルファリンカリウムは、胃内容排出を促進するコレスチラミンとの併用によって吸収が減少する。

d インドメタシンのプロドラッグであるインドメタシンファルネシルは、胆汁酸によって可溶化されて吸収が増加する。


問154
医薬品の吸収に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ヘパリンナトリウムは、消化管からの吸収がよく、錠剤又はカプセル剤として経口投与される。×

解:ヘパリンナトリウムは、消化管からの吸収が悪く注射剤として投与される。

b 塩酸バカンピシリンは、アンピシリンの消化管からの吸収性を増大させるためのプロドラッグである。
c ヒドロクロロチアジドの量的バイオアベイラビリティ (extent of bioavailability)は、血中濃度を測定しなくても尿中に排泄される薬物量を測定すれば知ることができる。
d 塩酸プロプラノロールは、吸収されやすいので、経口投与でも口腔粘膜への投与でもバイオアベイラビリティは同じである。×

解:塩酸プロプラノロールは、吸収されやすいので、経口投与と口腔粘膜への投与ではバイオアベイラビリティは異なる



問155
薬物の組織移行に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 循環血液中のレボドパ (L-Dopa) は、血液脳関門にあるアミノ酸輸送担体の働きで脳実質組織へ移行する。
b 母体の循環血液中のワルファリンやデキサメサゾンは、母体と胎児の間に血液胎盤関門が存在するため、胎児の循環血液中へ移行しない。×

解:母体の循環血液中のワルファリンやデキサメサゾンは、母体と胎児の間に血液胎盤関門が存在するが、分子量も小さいため胎児の循環血液中へ移行する

c 循環血液中のジアゼパムは、血漿たん白結合率が高いので、乳汁中への移行性は低い。
d 脈絡叢の毛細血管内皮細胞は、密着結合で連結していることから、循環血液中のセフェム系抗生物質は脳脊髄液中へ移行しない。×

解:脈絡叢の毛細血管内皮細胞は、密着結合しておらず、間隙があることから、循環血液中のセフェム系抗生物質は脳脊髄液中へ移行する



問156
経口徐放性製剤に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 一般に生物学的半減期の長い薬物に対して有用である。×

解:一般に生物学的半減期の短い薬物に対して有用である。

b 消化管からの吸収が良好な薬物には不適当である。×

解:消化管からの吸収が良好な薬物には一般的に無関係である。

c 肝初回通過効果の大きい薬物には適していない。
d スパンスル型は、徐放性顆粒と速溶性顆粒を混合してカプセル充てんした製剤である。


問157
薬物代謝酵素に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a シトクロムP450 (CYP) は肝細胞内の小胞体に多く存在し、サリチル酸のグルクロン酸抱合反応に関与する。×

解:シトクロムP450 (CYP) は肝細胞内の小胞体に多く存在し、酸化に関与する。

b シトクロムP450 (CYP) の分子種CYP2C19には遺伝的多型があり、代謝活性の低い患者ではオメプラゾールの副作用(皮膚粘膜眼症候群)の発現率は低下する。×

解:シトクロムP450 (CYP) の分子種CYP2C19には遺伝的多型があり、代謝活性の低い患者ではオメプラゾールの副作用(皮膚粘膜眼症候群)の発現率は増加する。(代謝:不活性化)

c カルバマゼピンは連用によって代謝酵素の誘導を起こし、同じ投与量をくり返し投与した場合、血中濃度は上昇する。×

解:カルバマゼピンは連用によって代謝酵素の誘導を起こし、同じ投与量をくり返し投与した場合、血中濃度は低下する。

d シメチジンはシトクロムP450 (CYP) のヘム鉄と複合体を形成し、シトクロムP450 (CYP) の代謝活性を阻害する。


問158
腎機能及び腎における薬物の動態に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 糸球体ろ過は加圧ろ過過程であり、ボウマン嚢内圧が糸球体の毛細血管内圧よりも高いために起こる。×

解:糸球体ろ過は加圧ろ過過程であり、糸球体の毛細血管内圧ボウマン嚢内圧よりも高いために起こる。

b 臨床の場において、患者の糸球体ろ過速度は、イヌリンの腎クリアランスを指標に評価されることが多い。×

解:臨床の場において、患者の糸球体ろ過速度は、クレアチニンクリアランスを指標に評価されることが多い。

c 薬物の尿細管分泌とは、薬物が血管側から尿細管腔側へと能動的に輸送される現象である。
d 薬物の尿細管再吸収は受動的な単純拡散によるものであり、特殊な輸送系が関与することはない。×

解:薬物の尿細管再吸収は受動的な単純拡散によるものと特殊な輸送系が関与するものがある

e 尿pHの低下によって弱酸性薬物の尿中排泄が減少するのは、尿細管再吸収の増大による。


問159
下図はヒトにおける物質A、B、Cの定常状態時の血漿中濃度と軽クリアランスの関係を示している。図中のA、B、Cに該当する物質名の正しい組合せはどれか。
A B C
1 グルコース ―――――― イヌリン ――――――― パラアミノ馬尿酸
2 イヌリン ――――――― グルコース ―――――― パラアミノ馬尿酸
3 グルコース ―――――― パラアミノ馬尿酸 ――― イヌリン
4 パラアミノ馬尿酸 ――― グルコース ―――――― イヌリン
5 パラアミノ馬尿酸 ――― イヌリン ――――――― グルコース

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。


問160
肝の構造・機能及び薬物の胆汁中排泄に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 肝への血液の流入系には、門派系と肝動脈系の2つがあり、全肝血流量に対する割合は、門派系を1とすると、肝動脈系では3程度である。×

解:肝への血液の流入系には、門派系と肝動脈系の2つがあり、全肝血流量に対する割合は、肝動脈系を1とすると、門派系では3程度である。

b 類洞(シヌソイド)の内皮細胞は不連続性であるため、アルブミンに結合した薬物も内皮細胞の間隙を通過することができる。
c 胆汁中排泄の支配要因の1つに薬物の分子量があり、ヒトの場合、分子量が約500以下の薬物はそれ以上の薬物に比べて胆汁中に排泄されやすい。×

解:胆汁中排泄の支配要因の1つに薬物の分子量があり、ヒトの場合、分子量が約200以上の薬物はそれ以下の薬物に比べて胆汁中に排泄されやすい

d グルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄された薬物は、腸内細菌叢のβ-グルクロニダーゼによって脱抱合を受け、再び吸収されることがある。


問161
静脈投与後の消失過程が飽和性を示す薬物について、その消失半減期 (t1/2) と投与量 (D) の関係を正しく示すグラフはどれか。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

解:1



問162
同一薬物を異なる剤形で投与後の血中濃度と尿中排泄量について、下記の表の測定値が得られた。この薬物に関する記述について、正しいものの組合せはどれか。ただし、この薬物は肝臓でのみ代謝され、代謝物は消化管から吸収されない。また、未変化体と代謝物はいずれも腎臓から排泄される。
a 錠剤Aの絶対的バイオアベイラビリティは、80 % である。
b 錠剤Aに対する錠剤Bの相対的バイオアベイラビリティは、75 % である。
c この薬物の腎クリアランスは、40 mL/min である。×

解:この薬物の腎クリアランスは、200 mL/min である。

d 錠剤Aを経口投与後の消化管壁の透過率は、80% である。×

解:錠剤Aを経口投与後の消化管壁の透過率は、100% である。

剤形 注射剤 錠剤A 錠剤B
投与経路 静脈注射 経口投与 経口投与
投与量 (mg) 100 250 250
血中濃度時間曲線下面積 ( (μg/mL) ・min) 200 400 300
尿中未変化体総排泄量 (mg) 40 80 60
尿中代謝物総排泄量(未変化体換算) (mg) 60 170 128


問163
腎機能正常者におけるジゴキシンの全身クリアランスを9 L/hr、全身クリアランスに占める腎クリアランスの割合を80 % 、経口投与時のバイオアベイラビリティを80 % とする。ある患者にジゴキシンを1日1回繰り返し経口投与し、定常状態における平均血中濃度を1.0 ng/mL にしたい。この患者では腎機能の低下によって、ジゴキシンの腎クリアランスが腎機能正常者の50 % に低下しているとした場合、1日の投与量 (mg) として最も近い値は次のどれか。ただし、ジゴキシンの吸収や腎外クリアランスに変化はないものとする。

1 0.04 2 0.10 3 0.16 4 0.25 5 0.31


問164
肝臓での薬物の代謝・排泄に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。ただし、肝クリアランスが主として肝血流速度の変化に依存する薬物を肝血流律速型薬物、肝代謝能に依存する薬物を肝代謝律速型薬物とする。
a 肝硬変では肝臓のシトクロムP450 (CYP) 含量が低下するので、肝代謝律速型薬物であるアンチピリンの肝クリアランスは低下する。
b 急性肝炎では、肝の薬物代謝能が低下するので、肝代謝律速型薬物であるプロプラノロールの血中濃度は低下する。×

解:急性肝炎では、肝血流量は変わらないので、肝血流律速型薬物であるプロプラノロールの血中濃度は変化しない

c 急性肝炎では、肝代謝律速型薬物であるワルファリンのたん白結合率が増加するので、肝固有クリアランスは大きくなる。×

解:急性肝炎では、肝代謝律速型薬物であるワルファリンのたん白結合率が低下する。また急性肝炎時には肝固有クリアランスは小さくなる。

d 肝障害によって肝血流量が低下した時は、肝血流律速型薬物であるリドカインの血中濃度は上昇する。


問165
臨床の場における血中薬物濃度モニタリング (TDM) のための薬物濃度測定に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 薬物濃度測定のための採血は、一般に最高血中濃度を示すと考えられる時間に行われる。×

解:薬物濃度測定のための採血は、一般に繰り返し投与では投与直前、点滴では定常状態、単回投与では1/ke時間に測定が行われる。

b 蛍光偏光免疫測定法は、迅速かつ簡便な血中薬物濃度測定法として広く用いられている。
c TDMでは通常、血清中又は血漿中の薬物濃度が測定されるが、免疫抑制薬シクロスポリンでは、全血中濃度が測定される。
d 薬理効果や副作用の指標として、TDMでは必ずたん白結合していない遊離形薬物濃度が測定される。×

解:薬理効果や副作用の指標として、TDMでは全薬物濃度が測定され、計算により、遊離形薬物濃度を求める。



問166
水溶液中において、薬物Aは1次反応速度式に従い、薬物Bは0次反応速度式に従って分解する。濃度C0の薬物A、Bそれぞれの水溶液を調製して、一定条件下で保存したところ、1年後に両者とも濃度が1/2C0となった。さらに、同一条件で保存し続けたところ、分解反応が進行し、ある時点で薬物Bの濃度は0になった。その時点での薬物Aの濃度として正しいものはどれか。

1 0 2 1/4C0 3 1/8C0
4 C0ln2 5 1/2C0ln2


問167
大、小2種の粒子径を有する同一物質の混合粉体について、アンドレアゼンピペットを用いて分散沈降法による粒度測定を行った。図に示すように、一定の深さにおける分散粒子の濃度(懸濁液濃度)は、測定開始後時間tまで初濃度C0のままであったが、時間tで大きく変化し、時間2tで0となった。なお、粒子はすべて、ストークスの式に従い沈降したものとする。この実験に関する記述のうち、正しいゃのの組合せはどれか。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

a 大粒子は小粒子の2倍量存在する。
b 小粒子は大粒子の2倍量存在する。
c 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は4dである。
d 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は2dである。
e 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は√2dである。


問168
真密度1.6 g/ cm3で、空隙率0.20の特性を持つ粉末医薬品がある。いまこれを1280 g秤量し、容器に移し替えたい。粉体の見かけ体積の10 %増を容器内容積として余分に見込むとすると、必要最低限の容器の内容積はいくらか。ただし、容器内での充てん状態は、空隙率測定時の状態と同じとする。

1 0.73 × 103cm3 2 1.1 × 103cm3 3 1.9 × 103cm3
4 2.8 × 103cm3 5 4.4 × 103cm3


169
固体平面に液滴を置いた場合を図示してある。γs、γL、γSLをそれぞれ、固体―気体、液体―気体、固体―液体の界面張力とする。このとき、次の記述について、正しいものの組合せはどれか。
a 角度Aが接触角で、小さいほどぬれやすいことを示す。
b 角度Bが接触角で、小さいほどぬれやすいことを示す。×
c 接触角が0度のとき、拡張ぬれが起こる。
d 接触角が0度より大きく90度以下のとき、付着ぬれが起こる。×

解:接触角が0度より大きく90度以下のとき、浸漬ぬれが起こる。

e 接触角が90度より大きく180度以下のとき、浸漬ぬれが起こる。×

解:接触角が90度より大きく180度以下のとき、付着ぬれが起こる。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。


問170
粉末粒子の溶解に関して次のHixson-Crowellの式が知られている。この式に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
M01/3 - M1/3 = k・t
M0:初期の粉末粒子質量 M:時間tでの未溶解粉末粒子質量
k:溶解速度定数 t:時間

a シンク条件を仮定して導かれる。
b 粉末粒子の粒度分布は正規分布に従うとして導かれる。×

解:粉末粒子の粒子径は同一として導かれる。

c kの次元は (時間)-1・ (質量)1/3である。
d 同一試料を用いる時、試験液の粘度が大きくなると、kの値は小さくなる。


問171
下記の相図(融点図)に示すように、液体状態では完全に混和するが、固体状態では混ざり合わないA、B2種の物質がある。A、Bの融点はそれぞれTa、Tbであり、また組成比4:6で共融混合物を形成する。図に示すように、A、Bを7:3で混合し、温度T1で加熱し完全に融解させた後、温度T2まで冷却し、平衡状態とした。このときの状態に関する記述のうち正しいものはどれか。

すべての抗精神病薬は、アデニル酸シクラーゼ活性の抑制に関連したドパミンd2受容体の遮断作用を有する。

1 液体状態のAの中に共融混合物が析出している。
2 液体状態のBの中に共融混合物が析出している。
3 固体Aと、A:B= 1:1の組成からなる溶液が共存する。
4 固体Bと、A:B= 1:1の組成からなる溶液が共存する。
5 固体Aと、A:B= 7:3の組成からなる溶液が共存する。
6 固体Bと、A:B= 7:3の組成からなる溶液が共存する。


問172
液体の流動に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 液体に加わるせん断応力とせん断速度との間に直線関係が成立する場合の全てをニュートン流動という。×

解:液体に加わるせん断応力とせん断速度との間に原点を通る直線関係が成立する場合をニュートン流動という。

b 高分子溶液の極限粘度を測定すれば高分子の分子量を知ることができる。
c 液体に加わるせん断応力とせん断速度との間に直線関係が成立しない場合をチキソトロピーという。×

解:液体に加わるせん断応力とせん断速度との間に直線関係が成立しない場合を準粘性、準塑性、ダイラタント流動などという。
(チキソトロピー:揺変性-速度の増加曲線と減少曲線が一致しない)

d 濃厚な懸濁液に加わるせん断応力とせん断速度との間には、原点を通る直線関係が成立しない。


問173
エマルションの安定性に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 一般に分散相が合一したエマルションは振り混ぜると容易に再分散されるが、クリーミングを起こしたエマルションは再分散されない。×

解:一般に分散相が合一したエマルションは振り混ぜると容易に再分散されないが、クリーミングを起こしたエマルションは再分散される

b 一般に内相と外相の容積率が等しいとき、最も不安定なエマルションを生成する。×

解:一般に内相と外相の容積率が等しいとき、最も安定なエマルションを生成する。

c HLB値が7より小さい界面活性剤を用いると、安定なO/W型エマルションは生成しない。
d エマルションの微細な液滴の凝集において、液滴が静電的反発力によるエネルギー障壁を乗り越えるほどの熱エネルギーを持っている場合には、不可逆的な凝集となる。


問174
日本薬局方通則に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 加熱した溶媒又は熱溶媒とは、通例、60~70 ℃に熱したものをいう。×

解:加温した溶媒又は熱溶媒とは、通例、60~70 ℃に熱したものをいう。

b 確認試験は、医薬品を製造する過程又は保存の間に混在が予想される物質を確認するために必要な試験である。×

解:純度試験は、医薬品を製造する過程又は保存の間に混在が予想される物質を確認するために必要な試験である。

c 医薬品の試験は、別に規定するもののほか常温で行う。
d 気密容器の規定がある場合には、密封容器を用いることができ、密閉容器の規定がある場合には、気密容器を用いることができる。


問175
錠剤の製造に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 乾式顆粒圧縮法(スラッグ法)は、主成分が水分や熱に不安定な場合に利用される。
b 半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)は滑沢剤を加えないで製錠できるため、得られた錠剤の崩壊性は非常によい。×

解:半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)は滑沢剤を加える。

c 打錠障害であるラミネーションは、医薬品混合物中に微粒子が多く含まれたり、結合剤が不足すると起きやすい。
d 錠剤のフィルムコーティングはコーティングパンや流動層コーティング装置を用いて行うが、コーティング基剤は必ず有機溶媒に溶解させて用いるため残留溶媒を一定量以下にする必要がある。×

問177
涙液と等張な1.5 W/V % 硝酸銀溶液を50 mL調製するのに必要な硝酸ナトリウムの量 (g) に最も近い値は次のどれか。ただし、硝酸銀の等張容積価は36.7、硝酸ナトリウムの食塩当量は0.68である。

問178
医薬品の容器に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 SP包装、PTP包装、ガラス瓶はいずれも気密容器である。
2 局方における容器とは、医薬品を入れるもので栓やふたは含まない。×

問179
薬物送達システム (DDS) に関する記述について、正しいものの組合せはどれか。
a マトリックス型放出制御製剤とは、薬物が高分子やワックスなどの基剤中に分散されていて、基剤中の薬物分子の拡散が薬物放出の律速となる製剤をいう。
b 乳酸・グリコール酸共重合体のマイクロカプセルに酢酸リュープロレリンを封入して注射剤とした製剤は、筋注後体内で乳酸・グリコール酸共重合体が架橋され固化して、徐々に酢酸リュープロレリンを放出する。×

解:乳酸・グリコール酸共重合体のマイクロカプセルに酢酸リュープロレリンを封入して注射剤とした製剤は、皮下注後体内で乳酸・グリコール酸共重合体が架橋され固化して、徐々に酢酸リュープロレリンを放出する。

d 経度治療システムの長所としては、肝臓の初回通過効果を回避できること、投与の中断が容易であることがあげられるが、短所としては適用できる薬物が限られることである。

問180
日本薬局方製剤総則中の注射剤に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 注射剤は、皮膚内又は皮膚若しくは粘膜を通して体内に直接適用する医薬品の溶液、懸濁液、乳濁液又は用時溶剤に溶解若しくは懸濁して用いるもので、無菌の製剤である。
b 非水性注射剤の溶剤には、通例、植物油又は動物油を用い、それらは鉱油試験法に適合する。×

c 注射剤の不溶性微粒子試験法において、不溶性微粒子の限度は、水剤1 mL中の個数に換算するとき、10μm以上のものが20個以下で、かつ25μm以上のものが2個以下である。× d 注射剤の不溶性異物検査法第1法において、溶液である本剤の溶剤は、容器の外部を清浄にし、白色光源の直下、4000~6000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察するとき、たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない。×

解:注射剤の不溶性異物検査法第1法において、溶液である本剤の溶剤は、容器の外部を清浄にし、白色光源の直下、約1000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察するとき、たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない。

ドパミンD2の副作用は?

しかし、ドパミンD2受容体やセロトニン2A受容体と類似するセロトニン2C受容体やヒスタミンH1受容体など他のアミン受容体2にも結合して不活性化することで起こる、口の渇き、眠気、体重増加、高血糖、起立性低血圧などの副作用が存在します。

ドパミンブロッカーの副作用は?

5%以上でみられる副作用は、パーキンソン症候群(25.6%)、アカシジア(25.4%)、不眠(22.8%)、眠気(14.5%)、ジスキネジア(13.1%)、便秘、悪心・嘔吐、食欲減退、プロラクチン上昇、焦燥、不安、めまい、ふらつき、過度鎮静、脱力倦怠感、口渇、CK上昇です。

ドパミンD2受容体の作用は?

ドパミンD2受容体は、ドパミンにより活性化されて情報伝達を行います。 ドパミンは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質です。 脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられています。 統合失調症の治療薬はドパミンD2受容体に結合して不活性化します。

アドレナリン受容体のαとβ両者を遮断するのはどれか。?

アロチノロールは、気管支平滑筋のアドレナリンαβ受容体遮断することで気管支平滑筋を拡張させる。 ビソプロロールは、心臓のアドレナリンβ1受容体遮断することで心拍数を減少させる。 ナドロールは、心臓のアドレナリンβ1受容体遮断作用及び内因性交感神経刺激作用により心筋収縮力を低下させる。