糖尿病 腎症患者の栄養指示量に関する記述 で ある

「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「E 腎・尿路疾患 (d 糖尿病性腎症 ~ g 血液透析・腹膜透析)」 の練習問題と解答・解説です.

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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント E 腎・尿路疾患 (d 糖尿病性腎症 ~ g 血液透析・腹膜透析) 13問 問題
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16 糖尿病性腎症に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 糖尿病性腎症は, 尿中微量アルブミンの出現で診断される.
(2) 尿中アルブミン排泄量が 30 mg/g クレアチニン未満であれば, 正常とする.
(3) 尿中アルブミン排泄量が 30~299 mg/g クレアチニンであれば, 微量アルブミン尿とする.
(4) 尿中アルブミン排泄量が 300 mg/g クレアチニン以上であれば, 顕性アルブミン尿とする.
(5) 推算糸球体濾過量 (eGFR) が 60 mL/分/1.73 m2 以上の場合, 糖尿病性腎症の第3期とする.

17 糖尿病性腎症に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 推算糸球体濾過量 (eGFR) が 14 mL/分/1.73 m2 以下の場合, 糖尿病性腎症の第4期とする.
(2) 糖尿病性腎症の進行防止のためには, 血糖, 血圧, 血中脂質のコントロールが欠かせない.
(3) 糖尿病腎症の進行した腎不全期では, 血清クレアチニン値は低下する.
(4) 糖尿病性腎症では, インスリン注射療法は禁忌とされている.
(5) わが国では, 糖尿病性腎症は新規透析導入の原因の第1位である.

18 糖尿病性腎症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, たんぱく質は 1.0~1.2 g/kg 標準体重/日とする.
(2) 糖尿病性腎症の第3期では, 食塩を 6 g/日以下とする.
(3) 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, カリウムは制限しない.
(4) 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, カルシウムは 400 mg/日以下にする.
(5) 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, エネルギー量は 40 kcal/kg 標準体重/日とする.

19 糖尿病性腎症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, 水分は前日の尿量分に制限する.
(2) 糖尿病性腎症の第3期~第4期では, エネルギー摂取量を 30~35 kcal/kg/日とする.
(3) 糖尿病性腎症の第4期では, たんぱく質摂取量を 0.8~1.0 g/kg/日とする.
(4) 糖尿病性腎症の第4期では, 食塩を 7~8 g/日とする.
(5) 糖尿病性腎症の第4期では, カリウムは制限しない.

20 慢性腎臓病 (CKD) に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 痛風腎は, 慢性腎臓病 (CKD) の原因として多い.
(2) 慢性腎臓病 (CKD) は, ネフローゼ症候群を含む.
(3) GFR (mL/分/1.73 m2) が 90 以上 (正常または高値) は, CKDの重症度分類でG1である.
(4) GFR (mL/分/1.73 m2) が 70~89 は, CKDの重症度分類でG2である.
(5) GFR (mL/分/1.73 m2) が 30~69 は, CKDの重症度分類でG3aである.

21 慢性腎臓病 (CKD) に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) GFR (mL/分/1.73 m2) が 30~44 は, CKDの重症度分類でG3bである.
(2) GFR (mL/分/1.73 m2) が 10~29 は, CKDの重症度分類でG4である.
(3) GFR (mL/分/1.73 m2) が 10 未満は, CKDの重症度分類でG5である.
(4) CKDの重症度分類でG4の状態は, 末期腎不全である.
(5) 慢性腎臓病 (CKD) のステージG4~G5では, 副甲状腺機能低下症が認められる.

22 慢性腎臓病 (CKD) の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 慢性腎臓病 (CKD) のステージG5 (末期腎不全) では, エネルギー摂取量は1日 20 kcal/kg 標準体重が推奨される.
(2) CKDの重症度分類でG1では, たんぱく質制限は行わず, 1.0~1.2 g/kg標準体重/日とする.
(3) CKDの重症度分類でG2では, たんぱく質制限食 (0.8~1.0 g/kg標準体重/日) とする.
(4) CKDの重症度分類でG3aでは, たんぱく質制限食 (0.6~0.8 g/kg標準体重/日) とする.
(5) 保存期腎不全 (CKDステージ G4) では, NPC/N比が 120~150 の成分栄養剤を用いる.

23 慢性腎臓病 (CKD) の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 保存期腎不全 (CKDステージ G4) では, 分岐鎖アミノの多い (フィッシャー比 40) 成分栄養剤を用いる.
(2) 慢性腎臓病 (CKD) のステージG5では, たんぱく質摂取量は 0.6~0.8 g/kg/日とする.
(3) 慢性腎臓病 (CKD) のステージG5 (末期腎不全) では, 食塩摂取量は1日 8 g とする.
(4) 慢性腎臓病 (CKD) のステージG3aでは, カリウムは, 2,000 mg/日以下とする.
(5) 慢性腎臓病 (CKD) のステージG5では, 水分は前日の尿量分に制限する.

24 血液透析に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血液透析の目的の1つに, カリウムの除去がある.
(2) 免疫グロブリンは, 血液透析で濾過される.
(3) 血液透析では, β2ミクログロブリンは濾過されない.
(4) 血液透析では, アミノ酸は濾過されない.
(5) 血液透析では, 脂肪酸や脂溶性ビタミンは除去されやすい.

25 血液透析とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血液透析では, 水溶性ビタミンはろ過されにくい.
(2) 血液透析では, カルシウムは除去されやすい.
(3) 血液透析では, 鉄欠乏が生じやすい.
(4) 血液透析では, エネルギー量は 20~25 kcal/kg 標準体重/日とする.
(5) 血液透析では, たんぱく質は 0.5 g/kg 標準体重/日以下とする.

26 血液透析の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血液透析では, 食塩を 0.3 g/kg ドライウエイト/日とする.
(2) 血液透析では, リンを 1,200 mg/日以上とする.
(3) 血液透析では, カリウムは 2,000 mg/日以下とする.
(4) 血液透析では, 食事外水分は 30 mL/kg 標準体重/日とする.
(5) 血液透析療法患者では, 水分は透析間の体重変動が 1% 以内となるように摂取する.

27 腹膜透析とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 腹膜透析は, 血液透析と同様に, 半永久的に継続することができる.
(2) 腹膜透析では, 透析液へのアルブミンの喪失は起こらない.
(3) 腹膜透析では, 総エネルギー摂取量は 40 kcal/kg 標準体重/日以上とする.
(4) 腹膜透析では, 摂取するエネルギー量は透析液から吸収されるグルコースのエネルギー量を差し引いて求める.
(5) 腹膜透析患者では, たんぱく質は 0.6 g/kg 標準体重/日とする.

28 腹膜透析の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 腹膜透析では, 食塩を {尿量 (L)×5+除水量 (L)×7.5} g/日とする.
(2) 腹膜透析患者では, カリウムは 800 mg/日以下とする.
(3) 腹膜透析では, リンを 1,200 mg/日以上とする.
(4) 腹膜透析患者では, カルシウムは 300 mg/日以下とする.
(5) 腹膜透析患者では, 水分は前日尿量に 500 mL を加えた量とする.

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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント E 腎・尿路疾患 (d 糖尿病性腎症 ~ g 血液透析・腹膜透析) 13問 解答と解説
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16=(5)
(1) 正 糖尿病性腎症は, 尿中微量アルブミンの出現で診断される.
(2) 正 尿中アルブミン排泄量が 30 mg/g クレアチニン未満であれば, 正常とする.
(3) 正 尿中アルブミン排泄量が 30~299 mg/g クレアチニンであれば, 微量アルブミン尿とする.
(4) 正 尿中アルブミン排泄量が 300 mg/g クレアチニン以上であれば, 顕性アルブミン尿とする.
(5) 誤 推算糸球体濾過量 (eGFR) が 30~59 mL/分/1.73 m2 の場合, 糖尿病性腎症の第3期とする.

17=(2)かつ(5)
(1) 誤 推算糸球体濾過量 (eGFR) が 15~29 mL/分/1.73 m2 の場合, 糖尿病性腎症の第4期とする.
(2) 正 糖尿病性腎症の進行防止のためには, 血糖, 血圧, 血中脂質のコントロールが欠かせない.
(3) 誤 糖尿病腎症の進行した腎不全期では, 腎の老廃物排泄機能低下により血清クレアチニン値は上昇する.
(4) 誤 糖尿病性腎症では, インスリン注射療法も行われる.
(5) 正 わが国では, 糖尿病性腎症は新規透析導入の原因の第1位である.

18=(3)
(1) 誤 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, たんぱく質は 0.8~1.0 g/kg 標準体重/日とする.
(2) 誤 糖尿病性腎症の第3期では, 食塩を 7~8 g/日とする.
(3) 正 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, カリウムは制限しない.
(4) 誤 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, カルシウムは食事摂取基準に準じる.
(5) 誤 糖尿病腎症の第1期から第3期Aまで (GFR 60 mL/分以上, 尿たんぱく質 1 g/日未満, CKDの重症度分類でG2A2まで) は, 25~30 kcal/標準体重 kg/日にて個々に応じて制限する. (CKD診療ガイド2012)

19=(2)
(1) 誤 糖尿病性腎症の顕性腎症前期 (第3期A) では, 水分は制限しない.
(2) 正 糖尿病性腎症の第3期~第4期では, エネルギー摂取量を 30~35 kcal/kg/日とする.
(3) 誤 糖尿病性腎症の第4期では, たんぱく質摂取量を 0.6~0.8 g/kg/日とする.
(4) 誤 糖尿病性腎症の第4期では, 食塩を 5~7 g/日とする.
(5) 誤 糖尿病性腎症の第4期では, 1日力リウム摂取量を 1.5 g 未満とする.

20=(3)
(1) 誤 糖尿病性腎症, 高血圧や加齢, 慢性糸球体腎炎は, 慢性腎臓病 (CKD) の原因として多い.
(2) 誤 慢性腎臓病 (CKD) は, ネフローゼ症候群ではない.
(3) 正 GFR (mL/分/1.73 m2) が 90 以上 (正常または高値) は, CKDの重症度分類でG1である.
(4) 誤 GFR (mL/分/1.73 m2) が 60~59 は, CKDの重症度分類でG2である.
(5) 誤 GFR (mL/分/1.73 m2) が 45~59 は, CKDの重症度分類でG3aである.

21=(1)
(1) 正 GFR (mL/分/1.73 m2) が 30~44 は, CKDの重症度分類でG3bである.
(2) 誤 GFR (mL/分/1.73 m2) が 15~29 は, CKDの重症度分類でG4である.
(3) 誤 GFR (mL/分/1.73 m2) が 15 未満 (末期腎不全) は, CKDの重症度分類でG5である.
(4) 誤 CKDの重症度分類でG5の状態は, 末期腎不全である.
(5) 誤 慢性腎臓病 (CKD) のステージG4~G5では, 活性型ビタミンDの合成低下による低カルシウム血症のため, 二次性副甲状腺機能亢進症が認められる.

22=(2)
(1) 誤 慢性腎臓病 (CKD) のステージG1~G5では, エネルギー量は 25~35 kcal/kg 標準体重/日とする.
(2) 正 CKDの重症度分類でG1, G2では, たんぱく質制限は行わず, 1.0~1.2 g/kg標準体重/日とする.
(3) 誤 CKDの重症度分類でG1, G2では, たんぱく質制限は行わず, 1.0~1.2 g/kg標準体重/日とする.
(4) 誤 CKDの重症度分類でG3a, G3bでは, たんぱく質制限食 (0.8~1.0 g/kg標準体重/日) とする.
(5) 誤 保存期腎不全 (CKDステージ G4) では, 低たんぱく質 (NPC/N比 500~600) の成分栄養剤を用いる.

23=(2)
(1) 誤 保存期腎不全 (CKDステージ G4) では, 標準アミノ酸組成 (フィッシャー比 4) の成分栄養剤を用いる.
(2) 正 慢性腎臓病 (CKD) のステージG4~G5 (末期腎不全) では, たんぱく質摂取量は 0.6~0.8 g/kg/日とする.
(3) 誤 慢性腎臓病 (CKD) のステージG1~G5 (末期腎不全) では, 食塩は 3~6 g/日とする.
(4) 誤 慢性腎臓病 (CKD) のステージG3a~G5では, カリウムは, 1,500 mg/日以下とする.
(5) 誤 慢性腎臓病 (CKD) のステージG1~G5では, 総水分摂取量は排尿障害がない場合には制限しない.

24=(1)
(1) 正 血液透析の目的に, カリウムやリンの除去がある.
(2) 誤 血液透析では, IgMなどのたんぱく質は濾過されない.
(3) 誤 血液透析では, 分子量が小さいβ2ミクログロブリンは濾過される.
(4) 誤 血液透析では, アミノ酸は水溶性の低分子であるため濾過される.
(5) 誤 血液透析では, 脂肪酸や脂溶性ビタミンは除去されにくい.

25=(3)
(1) 誤 血液透析では, 透析膜を通して葉酸などの水溶性ビタミンがろ過されやすいため, 欠乏症が生じることがある.
(2) 誤 血液中ではカルシウムのほとんどがたんぱく質と結合しているので, 血液透析ではカルシウムは除去されにくい.
(3) 正 血液透析では, 溶血や透析装置への血液の残留などにより鉄欠乏が生じやすいため, 鉄剤が静脈投与される.
(4) 誤 血液透析では, エネルギー量は 27~39 kcal/kg 標準体重/日とする.
(5) 誤 血液透析では, たんぱく質は 1.0~1.3 g/kg 標準体重/日以下とする.

26=(3)
(1) 誤 血液透析では, 食塩を 6 g/kg ドライウエイト/日とする.
(2) 誤 血液透析では, リンはたんぱく質 (g)×15 以下とする.
(3) 正 血液透析では, カリウムは 2,000 mg/日以下とする.
(4) 誤 血液透析では, 食事外水分はできるかぎり少なく (15 mL/kg DW/日以下) する.
(5) 誤 血液透析療法患者では, 水分は透析間の体重変動が 5% 以内となるように摂取する.

27=(4)
(1) 誤 腹膜が劣化するため, 腹膜透析の治療可能期間は5~8年程度である.
(2) 誤 腹膜透析では, 透析液へのアルブミンの喪失が起こる. アルブミンを含むたんぱく質が 5~6 g/日喪失する.
(3) 誤 腹膜透析では, 総エネルギー摂取量は 27~39 kcal/kg 標準体重/日とする.
(4) 正 腹膜透析では, 摂取するエネルギー量は透析液から吸収されるグルコースのエネルギー量を差し引いて求める.
(5) 誤 腹膜透析では, たんぱく質を 1.1~1.3 g/kg 標準体重/日とする.

28=(1)
(1) 正 腹膜透析では, 食塩を {尿量 (L)×5+除水量 (L)×7.5} g/日とする.
(2) 誤 腹膜透析患者では, 高カリウム血症がない場合にはカリウムは基本的には制限しない.
(3) 誤 腹膜透析では, リンはたんぱく質 (g)×15 以下とする.
(4) 誤 腹膜透析患者では, カルシウムは制限しないが, 異所性石灰化に注意する.
(5) 誤 腹膜透析患者では, 水分は前日尿量+除水量とする.

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次回は, 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「F 内分泌疾患」~「I 呼吸器疾患」 の穴埋め問題と正文集です.